勾留されている刑事事件以外に!相談に乗ってもらう必要性がある場合

 

勾留と釈放

罪→逮捕→勾留

窃盗や強盗、あるいは傷害などの犯罪を犯したと疑われる場合には、通常は捜査機関である警察において犯罪の発生を認識して、犯罪を犯したと疑われる者の特定と、その者が当該犯罪を犯したことを立証する、凶器や盗品等及び犯罪に利用した器具等の物証や、その者のアリバイなどを聞き込みで聞いてまわり証言を得る人証を固める作業を行います。そして、当該者が当該犯罪を犯した者であるという嫌疑が高まり、証拠も固まり、刑事事件として公判手続を維持できる程度に達した場合に、逮捕して身柄を確保し、そして、検察に送致します。この検察においては、さらに被疑者を取り調べたり、証拠の再度の精査を行うために裁判官に勾留を請求し、認められれば、検察が勾留します。この一連の流れについては、事件ごとに行われるので一「罪→逮捕→勾留」一の原則というのが、刑事訴訟法上の大原則として存在しています。

各刑事事件の余罪追及

しかし、現実的には、例えば強盗事件を犯したと疑われる者については、別の強盗事件を起こしている可能性がありますし、また、窃盗等の別の罪名の事件を起こしている可能性があります。そのような疑いがある場合に、この逮捕と勾留の理由となった当該事件における勾留手続きの中において、別件である強盗や窃盗等の各刑事事件の余罪について、むしろこの余罪について理由を固めるために当該事件について勾留をおこなっていたとすると、逮捕と勾留に裁判官の令状発付によるチェックが入るという令状主義の趣旨を没却し、違法不当に身柄が拘束され、取り調べ等を受けている状況になります。そこで、このような被疑者としては自分の権利を守るために弁護士に相談する必要があります。

弁護士への相談

この場合の弁護士への相談ですが、私選で弁護士を選任できている場合においては、当該弁護士について勾留事件に関する接見中などにおいて、余罪について中心的に取り調べを受けていることなどを相談して、余罪に関する防御について弁護士からアドバイスを受けて対応していけばよいでしょう。しかし、私選で弁護士を雇うとなると費用がかかります。そこで、資産がない人については、国が弁護士費用を負担する国選弁護制度があります。

しかし、国選弁護制度は本来憲法上、刑事裁判手続きについて、弁護士のサポートを受けて訴訟を追行するという点までが憲法上の要請であり、起訴前については裁判手続きに乗っていない状況であるので刑事訴訟法上、法律上の制度として認められているという位置づけになります。そして、この被疑者国選弁護人制度については、死刑無期などの重大事件について選任されるという要件があります。

この考え方からすると、国選弁護人の仕事は当該重大な逮捕勾留事件について弁護するのが仕事であるので、余罪については国選弁護の範囲が及ばないということとなります。ですので、余罪については別途私選で弁護人を立てて対応するか、当該国選弁護人に余罪についても別途対応を私選で依頼するといった方法が必要となってくるのです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket