刑事事件と示談の意義

 

示談

不起訴なら前科がつかない

刑事事件の被疑者になり、起訴をされてしまうと前科がつく可能性が非常に高くなります。前科というのは有罪判決を受けたことがあるかどうかであり、この場合は略式起訴で罰金刑を受けるのでも同じです。

刑事事件ということになると、執行猶予のついた有罪判決だったとしても前科であることに変わりはなく、無罪であることが求められます。前科がつけることを避けるためには起訴をされないようにすること、起訴猶予や嫌疑不十分などで済ませられれば前科はつきません。そのために出てくるのが示談ということになります。

示談の意味合い

そもそも示談の意味合いには2つあり、1つは謝罪の意思を示すこと、もう1つは被害者が受けた損害を軽減させることがあります。

謝罪の意思を

謝罪の意思を示すというのは、すべて自分が悪かったとすることで、きっと気の迷いであったり、魔が差したのだろうと被害者に思ってもらい、これだけ心の底から謝罪をしているのだから、それ以上の制裁は酷だと処罰感情を下げるために行われます。

それをしないということは、謝罪の意思がなく、裁判で白黒をハッキリさせたいということであるため、当然ながら被害者としても処罰意識はあったままとなります。

損害を軽減する

被害者が受けた損害を軽減するというので思い浮かぶのは交通事故の賠償です。交通事故を引き起こし、相手をケガさせてしまった場合、その償いをすることになります。その時、保険会社や弁護士が迅速に対応をし、今回の交通事故で被害を与えた部分はすべて負担をするなどと約束をし、示談を成立させることができます。

他にも、物を壊す、万引きをしてしまうなどのことがあった場合でも、該当する商品を弁償する、壊された部分を自費で修復をするなどのことをして、弁済し、それと引き換えに示談に持っていくこともできるようになります。

ただ、この示談というのはあくまでも個人間の契約のようなものです。そのため、起訴をするかどうかというのはまた別の問題ということになります。殺人などの刑事事件ではたとえ個人間で話し合いがまとまったとしても、社会的な影響を考慮し、当然ながら起訴はなされ、実刑判決が出ます。

そうしないと同じようなケースが出てくるからです。しかし、万引きや器物損壊などは言ってしまえばよくある出来事であり、それをすべて裁判にすることは検察官としても望んでいません。だからこそ、話し合いで解決したのであれば、事件化しなくていいという流れになります。

弁護士の存在は不可欠

刑事事件に発展し、示談に持っていき、起訴を回避するために弁護士の存在は不可欠です。例えば、傷害事件で、加害者当人が話し合いを被害者と持ちたいと思っても、被害者は報復をされるのではないかと怖がり、拒否をします。

弁護士がその真ん中に立つことで話し合いが成立し、結果としてお互いのためになる結論を導くことになります。また、当事者同士で行うことで、後になって実は脅されて無理やり結論を出すことになったと言われたら終わりです。それを避けるためにも弁護士が必要です。

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